柿

会社で柿を食べたら美味しくて。
なんとなく「彼にも食べさせたいなあ」って思った。

そんなことを思った自分にビックリしたんだけど。

今まで結婚を考えた彼がいなかったわけではない。
でも、こんなふうに思ったことなかった。

彼とは「思い」を共有したい。
だから、自分が美味しいと思ったものは彼にも食べてほしくなる。

こんなふうに感じるようになったのは最近。

それは彼の「思い」のせいなんじゃないかと思う。

昔、結婚を考えた人が「わんこと結婚するために」って言ったことがあった。
その時は車を売るってことだったんだけど。
それを聞いて私は怖くなった。
それだけの価値が私にあるの？
彼が大好きな車。
それと同じくらい、若しくはそれ以上の価値。
どう考えても私はその価値がないように思えて。

彼は「わんこのために」と言わない。

よく考えて自分がこうしたいって思ったからするんだ、これは俺の「思い」なんだよ

そうやって、彼の「思い」として言葉にする。

同じ事だけど、同じじゃない。
そして、柿。
会社の帰りに二つ買って。
「柿が美味しそうだったから」って彼に言ったら、すこーしだけ顔がゆがんだ。
「嫌いだった？」って聞いたら
「嫌いじゃないよ、渋いから・・・」だって。
買ったのは「甘い」柿。

食後に二人で食べました。

でもね。
きっと、彼は柿、あんまり好きじゃないような気がするよ。